楽しかったことが楽しめない

こんな症状はありませんか? 

大好きな旅行やスポーツ、友人との会食など、以前はワクワクしていた趣味や楽しみだった休日が、最近なぜか全然楽しくない、そんな感覚に陥っていませんか?

このような気持ちの変化は、心と体の状態の影響を受けて生じることが多く、「楽しい」「嬉しい」といったポジティブな感情が薄れてしまう背景には、心身の疲れや何らかの精神疾患が関係していることも少なくありません。

気持ちが乗らず、笑顔になれない時は誰にでもありますが、うつうつとした気持ち(いわゆるうつ状態)がいつまでも続き、日常生活に影響が出る場合には、適切な治療や対策を行う必要があります。毎日の生活が楽しめず、心が苦しいと感じる時は、一人で悩まずにお気軽に当院にご相談ください。

心の状態セルフチェック

以下の複数の項目に当てはまり、日常生活に支障が出ている場合は早期にご相談ください。

  • これまで好きだったことに興味が持てない
  • 憂うつな気分が続き、毎日がつまらない
  • いつも体がだるくて動きたくない
  • 人に会いたくない、他の人と一緒に過ごすのが面倒
  • 食欲がない、または何を食べても美味しいと思わない
  • 体を動かしても爽快感がない
  • 生きていても楽しくないと感じることがある

楽しかったことが楽しめなくなる主な原因

好きだったことが楽しめなくなる原因には、主に以下のような要因があります。

これらの要因が積み重なると「楽しい」という感情が起こりにくくなり、症状が重くなると「嬉しい」「悲しい」といった感情そのものが実感できなくなる場合もあります。

多忙な生活

仕事や家事、勉強など、常に時間やタスクに追われ、頭がフル回転している状態が続くと、心の余裕が失われ、「楽しい」「嬉しい」と感じる感情が薄れてしまうことがある。

精神的なストレス

不安、焦り、怒り、落ち込みなど、ネガティブな感情を引き起こす出来事や状況が続くと、心配や不安といった感情が強くなり、いつもは楽しいと思えることも楽しいと感じられなくなることがある。

身体的な不調

病気やケガの痛み、睡眠不足や栄養不足、慢性的な疲労といった身体の不調により気分が低下し、「楽しい」「嬉しい」といったポジティブな感情が乏しくなってしまう。女性の場合、月経や妊娠・出産などによるホルモンバランスの変化が、気分や意欲に影響を与えることもある。

環境の変化

転職や進学、引っ越し、家庭環境の変化などで生活のリズムが大きく変わると、新しい環境に適応することに必死になり、物事を楽しむ余裕を持てなくなることがある。

社会的孤立や孤独

話し相手がいない、誰とも会わない日々が続くと、感情の動きが鈍くなり、楽しみを感じにくくなることがある。また、大切な人や仕事などを失った時など、「何をしても虚しい」と感じることがある。

加齢・更年期の変化

加齢による体力の低下やホルモンバランスの変化などで、気分が落ち込みやすくなることがある。「もう若くない」と思う自己意識が、物事への意欲を失わせ、自由な発想・活動がしにくくなる。

また、子育てや仕事に追われる時期が終わり、心理的な喪失感を生じることで、楽しみが見つけられなくなることもある。

考えられる疾患とその特徴

「気持ちが落ち込み、楽しかったことが楽しめない」という状況は、「アンへドニア(失快楽)」と呼ばれるうつ症状の一つであり、多くの精神疾患にもみられる症状です。症状が長く続く場合、以下のような疾患の可能性が考えられます。

適応障害

人間関係や環境の変化など、特定の出来事(ストレス)がきっかけになり、気分の落ち込み、不安感、不眠などを生じて、物事が楽しめなくなることがある。

うつ病

精神的・身体的なストレスや強い緊張をきっかけに脳の機能バランスが崩れ、活動のエネルギーが低下する疾患。気分の落ち込み、集中力の低下、興味や喜び、意欲の喪失などを生じ、食欲不振や不眠などの身体症状を伴うことも多い。趣味などを楽しむ余裕がなくなり、進行すると感情そのものが乏しくなることもある。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

何らかの強いストレスとなる体験をきっかけに、フラッシュバックや感情の麻痺、興味の喪失などを生じる。何をしても楽しいと思えなくなり、日常生活に支障をきたすことがある。

生理前気分不快症候群(PMDD)

月経が始まる2週間前くらいから、心の状態が不安定になり、日常生活に支障をきたす状態。

気分の落ち込み、不安、緊張、情緒不安定、怒り、イライラ、不眠、意欲や集中力の低下などを生じ、いつもは楽しめることでも楽しいと感じられなくなることがある。

更年期障害

閉経前後の約10年間である更年期(45歳~55歳頃)は、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少してホルモンバランスが乱れやすくなる。ホットフラッシュ、イライラ、不眠、肩こり、頭痛、腰痛などのさまざまな不調を生じて気分が落ち込み、物事が楽しめなくなることがある。

認知症

アルツハイマー型などの認知症は、物忘れなどの症状に加え、初期に無関心や意欲、興味の喪失といった症状を生じることがある。これまで楽しんでいた趣味などが楽しめなくなり、進行すると感情そのものが失われることもある。

当院で行う主な治療法

当院では、問診で患者さんのお困りの症状や生活環境などを詳しくお伺いした後、心理検査や血液検査などの必要な検査を行い、身体的・精神的要因を総合的に評価して診断を行います。

当院で行う治療には、以下のような種類があり、それぞれの患者さんの症状やご希望に合わせ、無理のないペースで進めてまいります。

なお、診察の結果、より専門的な検査・治療が必要と判断した場合には、昭和大学横浜市北部病院などの提携病院をご紹介しますのでご安心ください。

休養・環境調整

心身が疲弊し、気持ちが落ち込んでいる時は、十分な休養でしっかり心と体を休ませ、体のエネルギーを回復させることが重要です。ご自宅でゆっくり過ごされるのが最適ですが、ご家族などへの配慮でゆっくり休めない場合は、入院などの措置が必要になることもあります。

また、職場の問題や人間関係のトラブルなど、何らかの特定の出来事で精神的に強いストレスを感じている場合には、心身にかかる負担を軽減するための環境調整が有効です。患者さんの置かれている状況を確認し、仕事量の見直しや労働時間の短縮、配置転換、一時的な休職といった措置を取ることで症状が改善する可能性があります。

薬物療法

うつ病などの疾患や、うつ症状や不眠などの症状がある場合には、症状を軽減するために以下のような薬剤の内服を行います。当院では、薬の使用は必要最小限に抑えておりますが、薬の服用について不安がある方は遠慮なくご相談ください。

抗うつ剤

うつ病または心理的なストレスによるうつ症状が強い場合。気分の落ち込みを改善し、意欲を高める効果が期待できる。

抗不安薬

不安や恐怖を伴う場合。強い不安感や緊張感を和らげる効果が期待できる。

睡眠薬

不眠や睡眠の質の低下による体調不良を伴う場合。不眠の改善や睡眠の質を高める効果が期待できる。

他診療科での処方が必要な場合は、提携医療機関をご紹介しますのでご安心ください。

心理療法(カウンセリング)

心理的なストレスが強い場合は、カウンセラーによるカウンセリングが有効です。

当院では臨床心理士・公認心理師が、患者さん一人ひとりの状態に応じたカウンセリング・治療を行います。患者さんのお悩みを伺い、解決方法を一緒に考えていくことで、つらい気持ちを和らげる効果が期待できます。また、「楽しめない」という状況は、患者さんの性格や考え方、ストレスへの対処法などが影響して生じることも多いため、ネガティブなイメージや思考パターンに気付き、正しく修正することで、気持ちを前向きにする効果も期待できます。

カウンセリングの料金など詳細については、以下のページをご覧ください。

日常生活の対処法

「嬉しい」「楽しい」といったポジティブな感情は、心の余裕がなくなることで失われやすくなります。

ストレスの多い現代社会、常にポジティブな感情でいることは難しいですが、日頃から以下のようなセルフケアを心がけることで、気分の浮き沈みを和らげ、回復を早める効果が期待できます。

バランスの良い食事を摂る

栄養不足は脳や体、心に悪影響を及ぼすため、日頃から栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特に「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニン*2の材料になる肉類、大豆製品、乳製品などは、積極的に摂ることが大切です。

手作りの食事が理想ですが、忙しくて時間がない時は、市販の調理品や栄養補助食品などを上手に利用し、栄養が偏らないようにすることも可能です。

*2 脳内で生成される神経伝達物質の一つ。精神の安定や安心感、頭の回転を良くするなど、脳を活発に働かせる作用がある。

軽い運動

ウォーキングやジョギング、ヨガなどの軽い運動は、血流を改善し、抑うつや不安などの症状を改善する効果が期待できます。身体を動かすことでセロトニンの分泌が増え、気持ちが前向きになりやすくなると考えられています。

ストレス発散法を持っておく

ストレスは溜め込み過ぎず、こまめに発散することが大切です。

趣味やスポーツに没頭する、ゆっくりお風呂に入る、自然の中でゆっくり過ごすなど、自分に優しくする時間を積極的にとり、心と体を癒しましょう。また、寝不足など、身体的な不調がある時は、早めに休息をとり、十分な睡眠で体のエネルギーを回復させましょう。

自分の気持ちに正直になる

気分が悪い時や、楽しくないと思ってしまう時は誰にでもあるものです。

楽しめない自分を責めたり、我慢して無理に楽しもうとしたりせず、自分の素直な感情を認め、受け入れることで、心が落ち着き、気分が少しずつ回復してくることもあります。

また、自分の心を守るため、ストレスを感じる事柄から適度な距離を置くことも大切です。

周囲に相談する

悩みがある時やつらい事があった時は、一人で抱え込まず、周りの人に相談しましょう。

信頼できる友人や家族、カウンセラーなどに話を聞いてもらうことで、気持ちが落ち着き、落ち込んでいた気持ちを上向きにする効果が期待できます。また、自分を客観的に見つめ直すことで、新たな視点から解決策が見えてくることもあります。

よくある質問

  • 最近、楽しいと思うことがありません。受診した方が良いですか?

    「楽しい」という気持ちの感じ方は人それぞれで、患者さんの性格や気質にも大きく左右されるものです。はっきりとした受診の目安はありませんが、気持ちが沈み、「これまで楽しめたことが楽しめない」という状態が2週間以上続く場合や、不安や緊張、眠れないといった心身の不調で日常生活に支障をきたす時は受診をおすすめします。

  • 回復にどれくらい時間がかかりますか?

    回復にかかる期間は、症状の程度や病気などによって異なり、一概には言えませんが、早期に治療を始めることで、回復を早めることができます。「そのうち治るだろう」と思って様子を見ていると、症状が長引いたり、悪化したりすることもあります。心の不調に気付いた時は、我慢せずに早期に適切な治療を受けましょう。

  • 家族はどのようにサポートすれば良いですか?

    患者さんを見守るご家族もつらいものですが、無理に元気付けようとせず、患者さんの気持ちに寄り添い、「話を聞いてくれる存在」でいることを心がけましょう。安心してリラックスできる環境を整えてあげることが、患者さんの心を回復する大きな助けになります。

院長からのひと言 

楽しい事や好きな事に夢中になれるということは、健康のバロメーターであり、心や体が健康な証拠です。ですから、これまで楽しんでいたことや好きだったことが楽しめなくなるという状態は、心のバランスが崩れ、不安定になっている可能性があります。

このような不調のサインを見過ごして無理に我慢を続けてしまうと、回復に時間がかかってしまったり、症状が悪化してしまったりすることもあるため注意が必要です。

当院では、一人ひとりの患者さんの気持ちに寄り添い、不調の原因を突き止め、心身の状態を回復するサポートいたします。つらく、うつうつとした日々を抜け出し、心から楽しいと感じられる感覚を取り戻すためにも、気分の変調が続く時は放置せず、早期にご相談ください。

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