睡眠障害

睡眠障害とは?

睡眠障害とは、睡眠に関連する何らかの問題が起こり、日常生活に支障をきたす状態です。

睡眠は、人間にとって生きるために欠かせないものであり、心身の疲労回復や記憶の定着、免疫力の維持・向上といった重要な役割をしています。

必要な睡眠時間は個人差がありますが、厚生労働省の調査によると、平均睡眠時間が6時間未満の人が成人全体の約4割を占めており、全体の約25%、つまり4人に1人が睡眠で十分な休養がとれていないと回答しています*1

睡眠不足または睡眠の質の低下によって起こる日中の不調は、仕事や勉強のパフォーマンスを著しく下げ、時には交通事故のような深刻な事象につながることもあります。

睡眠トラブルの背景にはうつ病などの精神疾患が隠れていることが多いのに加えて、将来的に糖尿病などの生活習慣病を発症するリスクを高めるため、早期に適切な治療が必要です。

睡眠障害には、不眠や過眠などさまざまな病態があり、それぞれの疾患に合った治療を行います。

睡眠に関するお悩みがある場合には、症状が慢性化する前に早期にご相談ください。

*1 厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査結果の概要」

睡眠障害のセルフチェック

睡眠障害にはさまざまなタイプがあります。

まずは、当てはまる項目がないか、まずはご自身でチェックしてみましょう。

  • 寝つくまでに30分以上かかる日が週に3回以上ある
  • 夜中に2回以上目が覚めてしまう
  • 朝、予定の時間よりもかなり早く目が覚めてしまい、再び眠れない
  • 睡眠不足で日中、眠気や倦怠感がある
  • 睡眠不足の影響で集中力が低下し、仕事や学業、家事に支障が出ている
  • 夜寝ているにもかかわらず、昼間に何度も強い眠気に襲われる

複数の項目に当てはまり、長く続く場合には、睡眠障害の可能性があります。

症状を放置せずに、一度ご相談ください。

睡眠障害のおもな種類と症状

睡眠障害とは、睡眠に関連して起こる病気の総称です。
当院ではおもにストレスなどの精神的な要因や生活習慣、環境などに関連して起こる、以下の疾患・症状の診断と治療を行っています。

不眠症

不眠症は、睡眠障害の中でも最も患者数が多い疾患で、夜間、眠りたいのに眠れない状態です。

「入眠困難(なかなか寝付けない)」「中途覚醒(夜中にたびたび目が覚める)」「早朝覚醒(起床予定よりもかなり早く目が覚めてしまう)」「熟眠障害(眠りが浅く、ぐっすり眠った感じがしない)」という4つのタイプがあります。

不眠は、日中の集中力低下や気分の落ち込みを招き、日常生活に支障をきたします。また、眠れない日が続くと、次第に「また眠れないかも」という不安感が増し、その不安や緊張で余計に眠れなくなるという悪循環に陥りやすく、これを「睡眠恐怖」といいます。このような状況を放置していると、症状がより悪化し、慢性化してしまうため、早期に適切な治療が必要です。

不眠症は、年代に関係なく発症しますが、年齢が上がるにつれて患者数が増加する傾向があり、高齢者の発症が多くなっています。

過眠症

夜間、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ、起きているのが困難になる状態です。

ナルコレプシーは、代表的な過眠症の一つであり、日中に耐え難い眠気を生じて突然眠ってしまう「睡眠発作」が特徴です。笑いや怒りなど、感情が高まった時に突然力が抜ける「情動脱力発作(カタプレキシー)」や、入眠直後に起こる「金縛り(睡眠麻痺)」を伴うことがあります。

また、注意欠陥多動性障害(ADHD)の方にも過眠症が生じやすいといわれています。聞くだけの授業や単調な仕事の時に強い眠気が発生してしまうことがあります。

概日リズム障害

体に備わった体内時計*2のリズムと昼夜のサイクルがずれてしまう状態です。

社会的に要求される時間、またはご自身が望む時間に眠ることができなくなり、仕事や学校に遅刻してしまうなど、社会活動に支障をきたすのが特徴です。

概日リズム障害の病態にはいくつかのパターンがあり、以下のように分類されています。

*2約24時間のリズム(サーカディアンリズム)で、体温やホルモン分泌といった生理機能や行動を調節する機能。ヒトをはじめとする生物に備わっているため、生物時計とも呼ばれる。

  • 睡眠・覚醒相後退障害:極端な遅寝遅起きになる
  • 睡眠・覚醒相前進障害:極端な早寝早起きになる
  • 不規則睡眠・覚醒リズム障害:一日の中で睡眠と覚醒が不規則に現れる
  • 非24時間睡眠・覚醒リズム障害:毎日30分~1時間程度、就寝時間がずれる
  • 交代勤務障害:夜勤など不規則な勤務で、体内時計が乱れてしまう
  • 時差障害:時差のある地域への移動により、体内時計が到着地の時間とずれてしまう

※その他、睡眠障害には、いびきや無呼吸などの呼吸器の要因で起こるものや睡眠時の異常行動など、さまざまな病態・疾患があります。疾患によっては、より専門的な検査や治療が必要になることがあるため、必要に応じて内科や睡眠外来などの受診が必要になる場合があります。

睡眠障害のおもな原因

睡眠障害にはそれぞれ特徴があり、さまざまな要因によって生じることがあります。
原因は一つとは限らず、複数の心理要因と生活習慣が複雑に絡み合うことで発症することも少なくありません。

ストレスや不安

仕事や人間関係の悩みなどで強いストレスを感じると、自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位になり、眠れなくなることがあります。また、睡眠の質が低下することで過眠症を引き起こす可能性があります。

うつ病や心の不調

うつ病や不安障害といった精神疾患の多くは不眠症状を伴います。
不眠以外にも、気持ちの落ち込みや意欲の低下などの症状がみられる場合には何らかの精神疾患の影響である可能性があります。

生活習慣の乱れ

進学や就職、引っ越しなど、生活環境が変化した時は睡眠のリズムが崩れやすく、不眠を招くことがあります。また、海外旅行の時差ボケ、変則的なシフト勤務、昼夜逆転の生活スタイル、昼寝のし過ぎなどが原因で体内時計が乱れると、概日リズム障害などを発症しやすくなります。

治療薬の影響

抗がん剤、降圧剤、甲状腺製剤、副腎皮質ステロイド、気管支拡張薬といった病気の治療のために処方された薬剤の副作用で不眠症状を引き起こすことがあります。

刺激物(アルコール、カフェイン、たばこ)

アルコールは一時的に寝つきを良くするものの、夜中に目を覚ます中途覚醒の原因になります。また、コーヒー・紅茶などに含まれるカフェインは覚醒作用があり、寝つきにくくなる上、カフェインには利尿作用もあるため、夜中のトイレで目が覚めてしまうことにより睡眠の質の低下につながります。

身体的な要因

喘息発作や頻尿、皮膚のかゆみや痛み、花粉症やその他のアレルギー症状など、何らかの身体疾患やケガによる症状で寝付けなくなることがあります。

睡眠障害の診断

睡眠障害は疾患ごとに治療法が異なってくるため、実際の診療ではまず患者さんの睡眠の状態や症状、生活習慣を丁寧に確認し、原因に応じた診断を進めることが大切です。

当院では、前半でご紹介した症状や原因も踏まえ、次の方法で身体的・精神的要因を総合的に評価し、治療方針をご提案します。

睡眠障害の治療

ここまでご紹介してきたように、睡眠障害は種類によって適した治療法が異なります。
そのため当院では、診断で得られた情報をもとに、患者さん一人ひとりの症状や生活習慣に合わせ、最適な治療を提案・実施しています。

睡眠衛生指導(生活改善)

睡眠障害の改善には、睡眠を妨げる悪い生活習慣や環境の見直しが欠かせません。
日々の行動や睡眠環境を変えることで、不眠の改善や睡眠の質を良くする効果が期待できます。

  • 規則正しい生活を送る

毎日の起床・就寝時間を一定にすると体内時計が整い、自然な眠気が訪れやすくなります。
睡眠と覚醒のリズムを調整するメラトニンは太陽の光でリセットされ、その14~16時間後に再び増加します。朝、起きたらカーテンを全開にして太陽の光を浴び、しっかり朝食を摂って心と体を目覚めさせましょう。時間に余裕があれば、外に出て5~30分程度散歩するのもおすすめです。

  • 寝室の環境を整える

暑すぎたり寒すぎたりすると寝つきが悪くなり、夜中に目を覚ます原因になります。エアコンを上手に使い、快適に眠れる室温(夏28℃前後、冬20℃前後)や湿度(50%前後)を保ちましょう。
また、照明が明るすぎても眠気が起こりにくくなります。夕方以降は部屋の照明を落とし、強い光を浴びないようにしましょう。特に、パソコンやスマホのブルーライトは、睡眠を促進するホルモンであるメラトニンの分泌を妨げ、寝つきを悪くします。就寝2時間前以降は使用を控えましょう。

  • 運動習慣をつける

適度な運動は、心地よい疲労感を得られ、寝つきを良くする効果が期待できます。
ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、ご自身のペースで無理なくできるのがメリットです。ご自身が楽しんで取り組める運動をみつけ、定期的に体を動かす習慣をつけましょう。
※夕方以降の運動は、交感神経を刺激し、寝つきに影響することがあります。注意しましょう。

  • 嗜好品との付き合い方を見直す

アルコールやカフェインの摂りすぎに気を付け、できるだけノンカフェインやノンアルコールの飲み物に切り替えましょう。特に、睡眠薬代わりの寝酒は睡眠の質を落とし、夜中に目を覚ます原因になります。徐々に飲む量が増え、飲まないと眠れないなど、依存の問題もあるためやめましょう。
また、たばこに含まれるニコチンにも覚醒作用があります。寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりするため、できるだけ禁煙を心がけましょう。

薬物療法

睡眠衛生指導だけで症状が改善しない場合には薬物療法を検討します。

睡眠障害の疾患とタイプによって使用する薬剤は異なります。

当院では、それぞれの患者さんの症状や程度に合わせ、以下のような薬剤を処方します。

  • 不眠症

・睡眠薬(寝つきを良くしたり、睡眠を維持させたりする薬)
代表的な薬:メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬など
※気持ちの落ち込みや不安を伴う場合には抗うつ薬や抗不安薬をあわせて使うこともあります。

  • 概日リズム障害

・メラトニン受容体作動薬(体内時計のリズムを整え、自然な眠気を促す薬)
代表的な薬:ラメルテオン
※必要に応じ、短期間だけ睡眠薬を使用することもあります。

よくある質問

  • 生理が始まれば自然に良くなります。薬を使わず、セルフケアだけでも良くなりますか?

    生活習慣の見直しやセルフケアは、症状の改善には必要不可欠です。
    比較的症状が軽い場合、セルフケアだけでも症状の改善が期待できますが、生活に支障をきたすレベルの強い症状は、適切な服薬を行い、症状のコントロールをする必要があります。
    薬物療法には、漢方薬を使う方法や、生理前の2週間だけSSRIを服薬する方法など、いくつかの治療の選択肢があります。当院では、薬剤の使用は必要最低限に抑えており、患者さんのご希望も尊重した上で最適な方法をご提案いたしますので、まずはご相談ください。

  • 睡眠に問題があります。心療内科と睡眠外来のどちらを受診したらよいですか?

    一般的に、強いストレスがある時や、睡眠関連の症状のほかに気分の落ち込みや不安といった精神的な症状を伴う場合は、精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
    一方、ストレスや精神的な要因に心当たりがない場合や、いびきや無呼吸、頻尿な度の身体症状を伴う場合は、内科や睡眠外来への相談をおすすめします。 しかし、睡眠のトラブルが原因で体調不良になったり、不安や緊張が高まったりするケースもあります。ご自身での判断が難しい場合はお気軽にご相談ください。

院長からのひと言 

良質な睡眠は私たちの健康に欠かせないものですが、近年は、「日中に活動し、夜に眠る」という基本的なリズムが保てない方が増えています。睡眠のトラブルは「心と体からのサイン」であり、放っておくと、気分の落ち込みや体調不良につながることがあります。

当院では、睡眠に関するお悩みを丁寧に伺い、患者さん一人ひとりに合った方法で、一緒に改善を目指していきます。睡眠にお困りのときは、一人で抱え込まず、当院にご相談ください。

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