物忘れが増えてきた
もの忘れが増えたと感じる方へ
最近、もの忘れやミスが増えたと感じることはありませんか?
どんな人でもちょっとしたもの忘れの経験はあるものですが、重要な事柄を忘れてしまうなど、日常生活に支障をきたすもの忘れが頻繁に起こる場合には注意が必要です。
もの忘れ自体は、自然な加齢現象の一つであり、中高年以降に多くみられる症状ですが、生活習慣やストレス、体調などによっては若い方でも生じることがあります。
早期に適切な対処をすることで改善するケースも多いですが、認知症や脳の病気、うつ病などの病気が隠れていることもあるため、症状が続く時は、念のため医療機関での検査を受けることをおすすめします。
当院では、患者様の症状に丁寧に耳を傾け、もの忘れの原因を突き止め、必要に応じた治療を行っています。もの忘れにお困りの方や、ご家族の様子が心配な時は、どうぞお気軽にご相談ください。
こんな症状はありませんか?もの忘れセルフチェック
以下のような状態が続く場合には、適切な治療・対策が必要です。
当てはまる項目が多い場合や、頻繁に起こる場合には、早期にご相談ください。
- 今日の予定や約束を忘れてしまうことがある
- 同じ話を何度も繰り返してしまう
- 人の名前や顔が思い出せない
- 財布やカギなど、身の回りのものを頻繁に置き忘れる
- 料理や車の運転など、これまでできたことでも失敗することが増えた
- 慣れている道でも迷ってしまう
- 簡単な計算や言葉が出てこない
もの忘れを招く主な原因
もの忘れは、以下のようなさまざまな要因で起こることがあります。
加齢
年齢を重ねると、脳の働きが緩やかに低下するため、記憶力や集中力の低下が起こりやすくなります。あくまでも加齢現象の一つであり、日常生活に支障をきたすことは少ないです。
ストレス・疲労
脳の中でも認知機能を司る前頭葉はストレスの影響を受けやすく、強いストレスや慢性的な疲労が続くと、注意力やワーキングメモリー(作業記憶)*1などの低下を招き、もの忘れが起こりやすくなります。近年、スマホやパソコンなどのデジタル機器の使い過ぎによる脳疲労が原因で生じるもの忘れも増えています。
*1脳が一時的に情報を保存し、処理するための機能。
栄養不足
栄養不足になると脳に十分な栄養が届かなくなり、正常な機能を保つことが難しくなります。
脳のエネルギー源であるブドウ糖や、そのエネルギー代謝に関わるビタミンB群(B1、B6、B12)、オメガ3脂肪酸、鉄分といった栄養素が不足すると、脳の働きが低下してもの忘れが起こりやすくなります。
ホルモン異常
ホルモンの分泌に異常が見られると脳の機能や精神状態にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。例えば、甲状腺ホルモンが不足すると、新陳代謝が低下して脳の働きが鈍くなり、集中力の低下やもの忘れを生じやすくなります。
睡眠不足
睡眠は、日中の活動で蓄積した疲労やストレスを回復する重要な役割があります。
睡眠不足や睡眠の質の低下が続くと、脳の情報処理能力が低下して記憶の整理がうまくできなくなり、もの忘れ症状が起こるようになります。
うつ症状・不安
精神的・身体的なストレス、強い不安や緊張などをきっかけに脳の機能バランスが崩れると、脳のエネルギーが不足して思考が遅くなり、物事への興味が失われるため、記憶が定着しにくくなり、もの忘れを生じやすくなります。
薬剤の摂取
抗不安薬や睡眠薬、抗うつ薬など、治療のための薬剤による副作用で、もの忘れを生じることがあります。
過度な飲酒
過度な飲酒は、脳の記憶に関わる海馬の働きを抑え、一時的な記憶喪失(ブラックアウト)を引き起こすことがあります。また、長期にわたって過度の飲酒を続けることでもの忘れや認知機能の低下が起こりやすくなります。
認知症
認知症は、脳の神経細胞が破壊されることで情報処理能力が失われ、もの忘れなどの認知機能の低下を生じます。進行すると、日常生活に支障をきたし、自立した生活が難しくなります。進行性の病気で放置していると症状が進んでしまうため、早期発見が非常に重要です。
もの忘れの予防法
もの忘れの予防には、まず、食事・運動・睡眠といった生活習慣の改善が基本となりますが、併せて以下のような対策をすることで、症状を予防もしくは軽減する効果が期待できます。
ストレスをためない
心身のコンディションを保つため、こまめにストレスを発散しましょう。好きな趣味やスポーツなどご自身の楽しいと思える時間を積極的に作ったり、瞑想や深呼吸をしたりするのもおすすめです。
メモやカレンダーを活用する
メモを取ると、脳の負担を軽くすることができ、新しい情報の整理や記憶の定着がしやすくなります。後からメモを見直すことで、記憶が繰り返し刺激され、長期間記憶が残りやすくなるほか、忘れてしまった場合でも、メモを見ることで記憶を呼び起こすきっかけになります。
脳を活性化する活動をする
脳への刺激を増やすため、脳を活性化するための活動をしましょう。読書、日記を書く、楽器の演奏、手芸、料理、クロスワード、数字パズル、語学、ボランティアなど、ご自身に合ったものを見つけましょう。少し難しく、それでもご自身が楽しいと感じられる活動がおすすめです。
周囲の人との交流を大切にする
何気ない会話や笑いは記憶や感情を司る脳の領域を活性化させる助けになります。
孤独は認知症のリスク因子といわれています。友人や家族などと定期的に会話をする時間を作りましょう。
よくある質問
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加齢によるもの忘れと認知症はどう違うのですか?
加齢によるもの忘れと、認知症によるもの忘れには大きな違いがあります。
加齢によるもの忘れの場合、「朝食で食べたものが思い出せない」というように、体験の一部を忘れてしまうのが特徴で、自分でもの忘れをしているという自覚があります。
一方、認知症のもの忘れの場合、食事をした体験自体を覚えていないのが特徴で、本人にもの忘れをしているという自覚もないため、同じことを繰り返し何度も尋ねるという傾向があります。